旅への導入は”この男が綺麗すぎて――”
はじめに
ちょっと思ってたよりも長くなった。
残念なオタクの狂いが見たいだけなら目次から「個人的な感想」まで飛んで欲しい。
すずめの戸締まりの感想文です。
タイトルは鈴芽の話でもあるんだけど、9割が宗像草太のビジュアルにやられた私の事。
鈴芽ちゃんにとって顔の良さは確かに取っ掛かりではあるけど、惹かれる理由は別にちゃんとあった。
感想のところまではまだ観てない人に、こんな感じっていう事を伝えるだけに留めたいと思う。
ちょっとネットの評判とかインフルエンサーの誇大表現が多くて、それが原因で観ないって選択をしている人がいるなら少し勿体ないと思ったので。
ちなみに作品の批評をする気はないので、好きな所とか単純な感想しかここには書かない。
作品の否定は極力したくない、それは他人の目に触れさせるものでは無いという私個人の方針もあるので。
モヤっとした作品はその場で闇に葬るに限る(特に映画は)
ネタバレ無しで観たいけど地震描写とか3.11のトラウマが不安って人は、アマプラとかHuluで12分間配信されてるのでスマホなりで観てから行くといい。
今回に限ってはネタバレとか気にせず、すぐに再生停止できる媒体で冒頭だけ見るのが本当におすすめ。
駄目な人は、冒頭の3分でもう駄目かもしれないから。
この映画とてもテンポがいいので、12分だけで一つの見せ場まで見せてくれる。
あとタイトルコールのアニメーションがえらくかっこいい。
↓プライムビデオのリンク ※1/31までの期間限定なので注意
映画の内容
セカイ系版の「かえるくん、東京を救う」です。っていうと怒られちゃうかな。
そのまんまではないけど、設定からして滅茶苦茶影響を受けまくっている。
村上春樹の短編集(『神の子どもたちはみな踊る』かな)に入っているので、気になるなら是非。
ざっくり言ってしまうとフィジカル最強ヒロインの岩戸鈴芽が、椅子になってしまった宗像草太と災いが出てくる扉を戸締まりしながら旅をする話。
映画ジャンル的には ロードムービー → アクションムービー のセットを繰り返すという感じ。
しかもアクションするのは、ほぼ人間じゃなくて椅子。
ちなみに鈴芽がどれぐらいフィジカル最強かというと、たった5日間で日本列島をがっつり横断するくらい。
走る、叫ぶ、飛び降りる、また走る。
当然女子高生だけで日本列島を横断するなんて事は不可能なので、他人の力もちゃんと借りる。
ティーンが頑張る映画に出てくる大人って、助言だけか障害として立ちはだかるかの二択が多いと思っていて。
どうしても添え物になっちゃったり、倫理的にそれはどうなのといった無理があったりする。
でも、この作品に出てくる大人達は
「君は家に帰りなさい」
「親御さんには、ちゃんと連絡するんよ」
「元いた世界に帰れ!」
ちゃんと心配と叱責してくれる人がいて、でも必要な時には助けてもくれる。
言い方は変だけど、成人済みの大人達がその世界を生きてきた大人としてちゃんと接してくれる。
その最たる人物として鈴芽の保護者、環さんがいて。
途中から心配した保護者が同行するっていう、現実なら当たり前かもしれない事をちゃんとやる。
その辺のリアリティがしっかりしてて良かったなと思う。
上映特典の第三弾で配られた「環さんのものがたり」がめっちゃくちゃ良かったので、何かしらの形で誰でも読めるようになるといいな。
上映後に作られた辻褄合わせじゃなくて、映画に出てきた環さんがあの世界をちゃんと生きてきたんだっていう話。
環さんの事を200%好きになるための物語。
上記の大人がちゃんとしている問題に絡んで、今回に関しては恋愛一辺倒じゃない事も書いておきたい。
まぁ、セカイ系ではあるので鈴芽は愛の力でガンガン動くし「好きな人に会いに行く」事を選ぶんですけども。
というのもその好きな人である草太さんが、成人済みなんですよ。
しかもこの人祖父に育てられているので、口調も思考回路もちょっと古風なお人柄で。
当然女子高生である鈴芽ちゃんに手を出すわけもなく、ちゃんと一定距離を置いて大人をしていると。
愛の力で動いているのは鈴芽だけで、草太は割と徹頭徹尾自分の役割に徹しているだけみたいなところがあって。
宗像草太さん!?とようやくなったのは、映画が終わって電車の中でエンディングの「カナタハルカ」を聞きながら歌詞を見た時。
この椅子、相当なクソデカ感情を拗らせていらっしゃる。
映画観たら「カナタハルカ」の歌詞も見てほしい。
映画だと曲が流れている間がエピローグ映像になっていて、歌詞まで絶対に気がまわらないので。
ちなみに映画版でしか聞けない歌詞が1フレーズだけあって、それだけはここに書いておく。
僕には無い 僕には無いもので出来てる
君をこの世界が讃えてる
震災について
最初この話題は避けようと思って書き始めたんだけど、そういう訳にはいかないか。
正直ものすごい主観的な話しかできないし、各々どう思うかは難しい所なのでここは完全に読み飛ばしてもらっていい。
上映開始直後「これは3.11の話だ」「震災文学だ」とちょっとした騒ぎになったので、だいぶ身構えてしまう。
正直私もそうだった。
言い方は悪いけど、東日本大震災をネタにして「感動するでしょ?」みたいな暴力的なものだったら嫌だなと。
観終わってみたら私は震災文学だとかっていうのは少し違う気がしていて。
確かにストーリーとしては重要な要素ではあるけど、その後を、今を生きている人達の物語でしかないので。
あの日の話ではなく、その後の12年間を生きてきた鈴芽の物語。
そして鈴芽が開けたままにしてしまったものを"戸締まり"する物語。
震災の話だと大きく括るには、あまりにも小さくクローズドな話で。
震災を骨組みにキャラクターを動かしている、というのはなんか違う気がする。
なんて思ってたら新海監督の舞台挨拶で普通に答えを教えてもらった。
次の映画を作る際、人がいなくなった土地・廃墟を少女が巡りながら現代日本を旅する話にしようと思った。
そしてその旅の終着点を考えた時、それはやはり東北になるのではと。
東日本大震災が無かった世界にしてしまうと、それはどうしても現代日本ではなくなってしまうので。
話の内容を要約するとこんな感じ。
震災を語る為に作った話ではないというような、真逆の話が出てきてビックリ。
東日本大震災が無かった世界にしたくないというのは大前提としてあって、そして今回の話の設定上どうしても寄り添う形になった。
本当にそれだけ。
だから別にこの映画を見て、必ず感動しなければいけないとかそんな事は全然ないと思っていて。
事実として今を生きている人達が当然たくさんいて、そのうちのほんとたった一人の小さな物語ぐらい楽しめればいいじゃないと。
個人的な感想
ガタイが良くて尻もデカイ男はとても良い
急にIQが3にならざるをえないぐらい、宗像草太のビジュアルが好きすぎる。
尻のでかい男キャラが好きなんですけど、男性らしい描き分けをしていくとどうしても腰回りがシュッとするじゃないですか。
そうはならんくて骨盤からして横に広いのとか最高だと思います(ろくろを回すポーズ)
ちなみに歴代の好きなキャラで該当するのはレプリカントのニーア(青年)、アニメNo.6のネズミ、グーフィー辺り。
しかもヒロインが見とれるくらい公式で綺麗な顔とかほんと何……。
鈴芽も本当にいいヒロインで、可愛いのはもちろんなんだけどフィジカルもメンタルも強くて。
変なポリコレ意識とか一切感じられないのに、守られるだけじゃなくてガンガン動き回るし実際っょぃ。
最初ヒロインって書いたけど、この映画のメインヒーローは間違いなく岩戸鈴芽。
本当に可愛いな。うちの子にならん?
煩悩の話はこれぐらいにしといて、本当に分かりやすくて面白い映画だった。
主人公が鈴芽固定で、彼女から見えない出来事や設定がバッサリ切り落とされているのでストーリーが一本化されている。
しかも設定がちゃんとしているから、語られない設定とかでもなんとなく行間の察しがちゃんとつく。
これは私の問題だけど群像劇とかW主人公ってどうしても視点が取っ散らかっちゃう。
なのでそのうちの誰か1人が好きで、その人しか目に入らない!!とかでない限り気持ちがどうしても迷子になってしまって。
それがないだけでも助かる。
あとストーリーについてなんだけど、この手の和風な神様絡みの話が普通に大好物です。
神が人に対して絶対の味方じゃない辺りも含めて。
正直なところ、この映画バッドエンディングもちょっと観たいと思っている。
以下、既に観た人向けの感想。
箇条書きなので未鑑賞の場合は何を言っているのか分からないし、普通にネタバレ有りなので注意。
宮崎
- 知ってはいたけど、やはり宗像草太という男の顔が良い
- 「貴方とどこかで会った事があるような…」「これじゃナンパか」← これが後から効いてくるなんて誰が思うよ
- ”ここにあるべきという完璧な位置にある” ←男性の涙ぼくろに対してこんな表記をみたの初めて ※小説版の話
- 尻のデカイ綺麗な男と巨大なミミズの組み合わせなのにエロ同人の導入じゃないなんて
- ごめん、ダイジンのこと中田譲治みたいな声で喋るキャラだと思ってた
- 椅子から子供向け教育番組の効果音がするのがかわいい
- すーーーーずめっ! ←すぐにまねしたくなるセリフ2022大賞
~愛媛~神戸
- 家出同然の一人旅で危険な目に合う事もなく宿泊先を確保できる人脈形成力がすごい
- ダイジンの能力で福を呼んでいるからって事らしいね
- チカのリップがツヤッツヤすぎる。メーカーなに使ってる?
- 神戸のこの遊園地、私行ったことある気がする(多分今もある)
- 「身体が椅子に馴染んできたんだ」絶対にダメでしょ
- 元成人男性の椅子に座るJKという新海誠っぽさが急に出てきてさすがに動揺した
- 『この子』のお顔が座面じゃなくて背もたれで良かったね、草太さん
- あーーーあ……やっぱり馴染んだら駄目なやつじゃん
~東京
- 新幹線のやりとり可愛いね。二人とも年相応だね。
- 新海流ラッキースケベ第二弾じゃん
- ミミズのビジュアルが天才すぎる。このミミズは倒れるんじゃなくて真下に落ちるし、見ただけで首都直下型という言葉が頭をよぎる。
- 一生懸命なヒロインの必死な声はとても良いね。若返る。
- 邪悪なオタクなのでこのシーンの鈴芽の悲鳴が大好きなんだ
- 鈴芽母のスペックが高すぎて動悸がした
- この子のお顔が背もたれで指定で本当に良かったね草太さん
~宮城
- 芹澤、思ってたよりもポンコツかもしれない
- 音楽がうるさくて両耳ふさいでるダイジンがあまりにも可愛い
- 環さん、あぁ環さん、環さん
- 正直一番これがしんどいかもわからん
- サダイジン普通にデカイな
- 常世のこの燃えてる街の映像がほんとうに駄目(トラウマ刺激ポイント)
- 真実の愛のキスは和風ファンタジーの意識を奪う封印術にも有効(ディズニープリンセスもビックリだよ)
- 想像していたよりもガッツリ鈴芽の事を見続けてたんだな草太さん……
- ここでようやく「行ってきます」が出てくるのか
~エピローグ
- 子鈴芽頼むから幸せになってくれ
- 鈴芽の明日!(拍手喝采)
- 扉をくぐる前に草太さんとか鈴芽と一緒に過ごせる時間が子鈴芽にあったとしたら最初の「どこかで」に繋がるのか
- 新ビジュアルで尊死
- ここでちゃんと鈴芽を置いていくのがね……もうね……
- この映画は絶対に「おかえり」で終わるとは思ってたよ
関係のない余談
もはや、すずめの話ですらないんだけども。
12月に入って、アバター続編が公開されたわけなんですが、日本ではイマイチ成績が振るわないようで。
各所方面で「捕鯨表現が~」とか「メッセージ性が~」とかいう記事があふれてるけど、日本で伸びない理由は十中八九『上映時間 3時間20分』だろうなと。
それなりに映画を見慣れている私でも怯む長さ。
それからこの長さになると、劇場の営業時間と終電の問題で仕事終わりにレイトで観る事が出来ないんですよねーっていう。
話の内容はそれなりに面白かった。映画館で観る価値はある。
こんな事言ったらマジで怒られそうだけど、くそでかカジキ&トビウオのハイブリッドが上空から容赦なく襲い掛かるシーンがあって、その絵面がサメ映画みたいでちょっと笑ってしまった。
そしてこのカジキ&トビウオのハイブリッドが、すごい美味しそうな見た目してるんだ。
脂がのった淡白じゃない白身の刺身ができそう。
あのシーンだけもう一回みたいから、どこかでまた観に行こうかな。